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以上のような府県制度論議の変遷から、次のようなことがいえよう。
第1に、府県のあり方は、論点は異なるものの、戦後一貫して論じられてきており、地方制度改革論議の中心的課題のひとつとして、今日もなお未決着の問題だということである。したがって、今後の論議においても重要な論点となる可能性が高い。
第2に、そうはいっても、論議のテーマは、府県の存在意義や性格の問題から府県の規模・区域の問題に移り、さらに府県の機能・役割の問題へと変化しており、府県の存在自体を問題視する議論は少なくなっていることである。最近の廃県置藩論や連邦制論はあるものの、議論の大きな流れとしては地方自治の二層制と府県の存在を前提としており、戦後の府県制がしだいに定着してきていることを表している。
第3に、府県の機能純化論の登場や市町村制度の多様化によって、府県のあり方とその機能について多様な選択肢が示されていることである。府県機能の強化か純化かは、府県の政府像を左右する問題である。また、市町村が政令市、中核市、一般市、町村と分かれるにつれて、それに対する府県の役割も異なってくる。府県のあり方については、多様な視点から検討が求められている。
(2)府県の基本的性格に関する議論
次に、府県の政府ないし団体としての基本的性格に関する議論について、具体的にみてみよう。
(a)完全自治体論
戦後改革による知事公選制により府県が完全自治体となったことを承認し、この改革の成果を現実化することを求める議論である。現行法制度に忠実な考え方であり、したがって多くの論者が前提として受け入れている考え方である。たとえば、前述の1957年の「地方」制の提案のなかで、広域団体の国家的性格を強調する議論(次項参照)が有力となったのに対して、田中二郎氏などの有識者が、広域団体の行政機能も、地方住民の意思を背景とすることによって、地方の実情に即し合理的・能率的に処理できるものだから、広域自治体もまた完全自治体であるべきだという議論を展開したことが挙げられる4)。また、現在でも、多くの論者は、府県が名実ともに完全自治体となるよう求めている。

 

 

 

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